10月7日、パレスチナのイスラム勢力ハマスがイスラエルに数千発のロケット弾攻撃をかけ、イスラエル側はガザを報復攻撃。双方での死者は三千人を超えた。イスラエル軍のガザ侵攻も予測され、そうなると戦火はさらに拡大するだろう。
同じく7日、アフガニスタン西部の都市ヘラートではマグニチュード6.3の地震が起きていた。ヘラート共同電によると、昼に地震が発生、家に残っていた女性と子供たちが被害を受け、犠牲者の90%が女性と子供だという。外に出ていて助かった男性が懸命に家族を探す姿がSNSに投稿されている。瓦礫を手で掘り起こす姿や、家族を失って泣き崩れる人の姿…。それらの映像からは深い悲しみと絶望が伝わってくる。
戦争であれ、災害であれ、最愛の家族を一瞬にして失った悲しみは深く、その痛みの大きさや深さは外部の人には窺い知れないものだろう。
それにしても、監獄のような抑圧状態が長く続き、世界から忘れ去られたようなアフガニスタンやパレスチナの人々に、こんなにも幾重もの苦難が続くのか、と思う。それでも、その地に生きる人はそれを受け留め、神に祈り続ける。これが神が与えた試練なら、これほど過酷な試練はないに違いない。
自然災害は止めることができないが、戦争や報復は止めることができるはずだ。しかし、世界はその方策を探し求めることを疎かにし、自らの愚行で自分たちの首を絞めているように見えて仕方ない。
アフガニスタンではタリバンによる人災がこうした中でも続いている。処刑した人を見せしめにクレーン車に乗せて街の中心街を走らせ、人々がそれを見ながら自転車を走らせている写真投稿があった。
パキスタンからは、警察官がアフガン女性に鞭をふるっている姿が投稿されている。アフガニスタンとパキスタンとの関係悪化により、多くのアフガニスタン難民が国外退去に遭っている。
いまだに「人による人への迫害」が行われているアフガニスタン。女性たちは学ぶことも働くことも、外を自由に歩くこともできない。監獄のような日々がいまも続いている。世界中で増幅する憎悪と暴力。しかし、世界各国のメディアも政府も、たくさんの血が流されてから目を向け、すぐに忘れていく。
国民抵抗戦線代表のアフマド・マスードはヨーロッパ各国を歴訪中で、アフガニスタンの少数派民族への弾圧や女性蔑視の現状を訴え、包括政府の必要性を説いている。欧州議会でも演説し、多数の議員たちが賛同の意を示した。
かつて父親のマスードが欧州議会で演説した時、盛大な拍手があったが「過激なテロ組織の脅威は世界に広がる」と訴えたマスードたちへの効果的な支援はなかった。
しかし今は、欧米諸国がその教訓を生かそうとするのではないかという希望もある。そうした国際支援を梃子に、アフマドが国内の抵抗勢力をまとめあげ、新しい変革を作り出すことに期待したい。
タリバン暫定政権が地震災害の救助や支援活動に乗り出したというニュースは流れてこないが、アフマドはいち早く「地震の死者への哀悼の意」を表し、オーストラリアのマスード財団は援助金を募っている。
一昨年、オンラインでの「マスード追悼シンポジウム」に参加し、各国の写真家とマスードの思い出を語った。財団は、アフガニスタンで教育を受けられない女子学生のためにオンラインでの授業を行うなど、活発に活動を続けており信頼できる団体なので、支援活動への義援金送付を希望する方は、是非、以下の添付情報を参考にしていただきたい。
また日本の「難民を助ける会」も支援活動を開始しており、こちらは日本での電話応対も行っている。とてもしっかりした団体なのでこちらも信頼できます。
◆「難民を助ける会」
https://aarjapan.gr.jp/news/11576/
電話 0120-786-745
03-5423-4511(月曜から土曜。10時から18時まで受付)
世界から支援の手が届き、被災した人々の苦痛と苦難が少しでも和らげられますように。
2023年10月15日 ブラジル行を前に 長倉洋海